
英会話学習をしている人
「英語を勉強しているけど、なかなかリスニングができるようにならないなぁ…シャドーイングがリスニング力アップに効果的って聞いたけど本当?やり方がよくわからないから、詳しい人に聞きたい!」
こんな疑問に答えます。
・シャドーイングとは何かが分かります
・シャドーイングの効果が分かります
・シャドーイングの正しいやり方が分かります
記事の信頼性
この記事を書いている僕は、英語勉強歴7年ほど。
大学では、第二言語習得(効率のいい英語の習得方法を学ぶ学問)と英文学を専攻していました。
現在は、ネイティブレベルで英語を使えるようになっており、英会話の効率的な勉強法を教える英会話コンサルタントとして活動しています。
今回は、正しいシャドーイングのやり方について解説します。
結論から言うと「いきなりシャドーイングをするのは無理があるので、5STEPでやるのがおすすめ」です。
シャドーイングとは
英語の音声を聞いて少し遅れて真似をするトレーニングです。
僕は大学で英文学と第二言語習得(効率よく英語を習得する方法を学ぶ学問)を勉強していたのですが、その中でなんども耳にする勉強法でした。
シャドーイングは通訳の育成のために使われてきた歴史のある勉強法です。
シャドーイングの効果
シャドーイングには2つの効果があります。
・単語、文法の理解スピードが上がる
リスニングは、「音を聞き取る力」と、「単語や文法を使って英文の意味を理解する力」の2つのプロセスで成り立っています。
シャドーイングでは、この2つの能力を同時にトレーニングすることができます。
ここからは、シャドーイングの効果について具体的に解説していきます。
そもそも英語が聞き取れない理由とは?
リスニングで英語が聞き取れない理由は大きく3つに分けられ、シャドーイングはこのうち2点を改善することができます。
・英語の音が聞きとれない
・単語や文法をそもそも知らない
・単語と文法は知っているけど、スピードについていけない
日本人は中学・高校で英語を読むトレーニングをしているので、単語や文法の基礎はできている人が多いですが、リスニングはほとんどやってこないため「音が聞こえない」という人がとても多いです。
僕が以前に働いていたセブ島の語学学校でも、「書いてあれば読めるけど、それを英語で言われると分からない」という人がとても多かったです。
シャドーイングで改善されるのは以下の2つです
・単語と文法は知っているけど、スピードについていけない
効果1:自分が聞き取れない英単語がわかる
シャドーイングを行うと自分の聞き取れない音や英単語がわかります。
シャドーイングをすると、発音できない・詰まってしまう箇所がでてきます。そこが自分の聞き取れていない英単語です。
聞き取れていない英語があったら、なぜ聞き取れていないのかを確かめる必要があります。
・その単語、文法を知らない
・実際の英語の発音に慣れていない
・音のつながりに慣れていない
単語文法を知らない
→調べて意味を覚える必要があります。
リスニングをしていてなんども単語や文法で引っかかる場合、集中して基礎固めをしてしまった方が、あとあとの成長につながります。
参考:【英語初心者向け】基礎固めにおすすめの本・教材【文法書と単語帳】
実際の発音に慣れていない
→単語を覚えるときに、発音も一緒に覚える。
例えば、positionを「ポジション」と覚えていると、ネイティブが発音した音を聞き取ることができません。
ネイティブの発音は「プジシュン」に近いです。
音のつながりに慣れていない
→その都度覚えていく。
例えば、「I like him」をアメリカ人が発音すると「アィラィキム」と聞こえます。
「アイ・ライク・ヒム」の「ク」と「ヒ」が繋がって「キ」という違う音に変わります。
音の変化やつながりには法則がありますが、色々な組み合わせで音が変化するので、実際にリスニングをして覚えてしまうのがベストです。
法則が知りたい方は、【音声付きで解説】英語の発音・音の変化のルール・法則が参考になるかと思います。
効果2:スピードについていけるようになる
シャドーイングをすると、英語のスピードについていけるようになります。
単語・文法が完璧に理解できていない部分はシャドーイングをすることはできないので、理解が100%ではない単語や文法を理解し直すことになります。
I like him so much.(彼のことがすごく好きです)
→「so much」ってどういう意味だっけ?あ、「like」を強調してるのか。
このように、「so much」の意味が体に染み付いていないと、単語を理解するのに一瞬気をとられることになります。
これが重なっていくと英語のスピードに置いていかれます。
100%理解して聞き取ることができるようになると、文法や単語を考えなくても英語の意味が自然と理解できるようになるので、結果として英語のスピードについていけるようになります。
シャドーイングのやり方(5ステップで解説)
5つのステップにわけてシャドーイングを進めていきます。
「英会話の勉強を始めたばかり」という人はStep1からやっていくと無理なく学習できます。
*正しいやり方と同じくらい、自分のレベルにあった教材を選ぶことも重要です。
参考:シャドーイングのおすすめアプリ&教材を紹介【英会話の上達には必須】
シャドーイングの際の英語音声のスピード
勉強し始めたばかりの方以外は、ネイティブのスピードで行うことをおすすめします。
ゆっくり読まれた音声を使ってリスニング学習をすると、英語を日本語に訳す癖がなかなか抜けないので、少しきつくてもネイティブレベルの音声についていってください。
どうしてもネイティブの音声を聞き取るのがきつい場合には、リスニング以外の「発音の基礎」「単語・文法の理解」に課題がある可能性があります。
その場合は、こちらの2記事を参考にしてください。
参考:リスニング上達には英語の発音勉強!その理由と学習方法を解説
参考:【英語初心者向け】基礎固めにおすすめの本・教材【文法書と単語帳】
シャドーイングのやり方Step1:リピーティング
Step1はシャドーイングの準備段階です。
英語の音声を聞いて、いったん音声を止めて口に出す方法です。
この時、英文は見ないようにしてください。
下の例のようにトレーニングします。
あなた:I am sick. (聞こえた音声を発音する)
音声: I need to see a doctor. (一時停止)
あなた: I need to see a doctor.(聞こえた音声を発音する)
わからない文法や聞き取れない単語・発音があったら、英文を見てメモしておいてください。
英語の勉強を始めたばかりで全文を一気にリピートするのが難しいという方は、「I need to」と「see a doctor」のように一文をいくつかに分けてリピーティングするのもありです。
シャドーイングのやり方Step2:オーバーラッピング
Step2もシャドーイングの準備段階です。
英文を見ながら、音声にかぶせて発音するトレーニングです。
発音できない部分があっても音声は止めず、できなかった所はあとで確認します。
ここでは音声の発音と自分の発音が一致しているかを確認しながら声を出すようにしてください
「自分の思っている発音と実際の発音が違う」というのはよくあることです。
特に日本語で使われているカタカナ英語は、実際の発音と違うことが多いので気をつけてください。
いきなりネイティブの話すスピードをオーバーラップするのはかなり難しいので、はじめのうちは再生スピードを遅くしても大丈夫です。
「リピーティング」と「オーバーラッピング」のやり方がわからない場合、こちらの動画を参考にしてください。
シャドーイングのやり方Step3:マンブリング
ここからが、シャドーイングです。
実はシャドーイングには3つのやり方があります、初めにやるべきなのは「マンブリング」なので、まずはこちらから説明します。
「マンブリング」は簡単に言えば、「意味は分からなくていいから、聞こえてきた音をつぶやく」というトレーニングです。
英文を見ずに、とにかく聞こえてきた音に集中してブツブツと口を動かしてみてください。
これによって、どの音が聞こえていないのか・どの音が発音できていないのかがわかります。
シャドーイングのやり方Step4:プロソディ・シャドーイング
次に行うべきなのが「プロソディ・シャドーイング」です。
しっかりと発音するかどうかが「マンブリング」との違いです。
これによって、聞こえていない音・発音できていない音がわかります。
第二言語習得という学問では「発音できる音は聞き取りやすくなる」という原則があります。
まずは意味がわからなくてもいいので、プロソディ・シャドーイングで英語にしかない発音を身につけることが大切です。
音声に遅れずについていくこと。
大幅に遅れると、音声を止めて繰り返す「リピーティング」のトレーニングと同じになってしまいます。
僕は、音声に集中するために目を閉じながらトレーニングしています。
とにかく聞こえてきた音だけに集中してみてください。
そもそも英語の発音がほとんどわからないという場合にはこちらの記事を参考にしてください。
参考:【英語発音の基礎・フォニックスとは?】効果とおすすめ教材を紹介
参考:【全て音声付きで解説】発音上達に必須!英語の発音記号とは?
参考:【動画付き】英語の発音は舌の位置が全て!日本人が苦手な発音を解説
シャドーイングのやり方Step5:コンテンツ・シャドーイング
意味を理解しながら、聞こえてきた音を発音するトレーニングです。
シャドーイングの究極の形が「コンテンツ・シャドーイング」です。
人間の脳は一定量しか情報を処理できません。
そのため、英語の音が聞こえていない時には音の認識に脳が集中してしまい、意味理解まで脳の処理が追いつきません。
まずは、「プロソディ・シャドーイング」で音を聞き取れるようにトレーニングしてください。
「プロソディ・シャドーイング」で英語の音が聞こえるようになっていれば、自然と英語の意味を理解することに集中することができるようになります。
シャドーイングが難しい場合
英語の勉強を始めたばかりの人がシャドーイングにやるのは難しいです。
その場合、ディクテーションというシャドーイングに似たトレーニングから始めるのがおすすめです。
参考:【リスニングに劇的変化を!】ディクテーションの効果とやり方を解説
まとめ
「リスニング力の強化」と「正しい発音・イントネーションを身につける」効果がある
5ステップの正しいやり方でやることでより効果が出る
自分のレベルにあった教材を選ぶことが最重要
参考:シャドーイングのおすすめアプリ&教材を紹介【英会話の上達には必須】
シャドーイングはリスニングの勉強の王道なのですが、意外とやっている人が少ないです。
リスニングが苦手…という方は英会話レッスンよりも効果があるので、ぜひ試してみてください!